盛り沢山だった今日一日
モーツァルトの250歳のお誕生日。
やっぱりまずはご本人とご対面。
そう、楽譜。
晩に聴くKV488のコンチェルトといくつかピアノソナタを音に出してみた。
たった一人でのモーツァルトとの対話。
250年前の今日、もし彼が生まれてなかったら存在しなかった音たち。
そう思うとその音たちが余計愛しく有難く思えて、モーツァルトが生まれたことに感謝!
街に出る。シュテファン広場の前に据えられた特設テントはこの3日間のお祭りの案内センター。奥のほうは舞台もあってコンサート、アーティストインタビュー、クイズ、トーク、子ども向けの催し物などが入場無料で朝から晩までぎっしり。(これを書いているたった今はラジオでこの特設テントからの生中継でHugoWolf弦楽四重奏団やOlaf Bärの演奏とトークを流しています)私が行ったときはQuartett Accentoによる弦楽四重奏の演奏がされていました。テントの中なのでMCを使っていて音響的にかなり難があったし、ひっきりなしに人が出たり入ったりしていたので演奏者には気の毒だったけどイベントの性格からして仕方のないことかな。でも演奏は全然悪くなくちゃんとしたレベルのものを提供していました。(全く知らないカルテットでしたがまだ学生?という感じの若いメンバーでした。) この日にあわせて開館したモーツァルトハウス・ウィーンはこの3日間無料公開。整理券をもらって約30分間館内を案内してもらえるというもの。私は時間的にちょっと無理だったのでこれは後日のお楽しみにとっておきました。
シュテファン寺院のなかは夕方のコンサート(戴冠ミサ曲)の舞台設置がしてあり、テレビ生中継のためにテレビカメラや照明器具など普段この場所には存在しないものがいっぱい。いつもここにある時間の流れがなんとはなしにちょっと歪んでいるような不思議な感覚にとらわれました。
自筆譜に書かれている情報自体はコピーでも得られるけど絵画と一緒でやはりずばりそのものを”生(なま)”で目にする体験はすごい。200年以上も経っているとは思えない鮮やかなインク。迷いのない筆運び。どきどきして高揚してしまいました。
娘のLinaちゃんごらんの通りと~っても可愛い!一ヶ月前から歩き始めなんだかおしゃべりも始め、だんだん人間って感じになってきた!?(笑)それにしても子どもの成長って速い!あんまりにも当たり前すぎる感想だけどつくづく時間の流れを実感する時です。
さてお次はフォルクス劇場でオレグ・マイセンベルク(Oleg Meisenberg)のピアノリサイタル。”Quasi una fantasia”と題されたプログラムはモーツァルトの幻想曲とシューマンの幻想曲で休憩なしの約一時間。不覚にも遅刻して一曲目は聴けない覚悟だったのだけど曲途中にもかかわらず会場に入れて幸運でした。演奏者には申し訳ないけど(もちろん極力邪魔のないように最大限に気を使いましたけど)イベントの性格上仕方がないのでしょうね。フォルクス劇場に足を踏み入れるのは実はこれが初めて!演劇専門の劇場なので音がかなりダイレクトにそのまま来る感じでごまかしのきかない音響。個人的にはそんなまっすぐにくる音響、好きでした。マイセンベルクの演奏は極端なバランスのなかでくっきりと徹底的にメロディーを浮かびあがらせ描ききるのがとっても印象に残ってモーツァルトの美しい「うた」が強烈に強調されていました。
それにしてもウィーンの劇場はどこもほんとに美しく催しものの内容とともにその空間に身をおく楽しみも充分に堪能できる。観客の「その気」をより盛り上げてくれるとでも言いましょうか・・・。
そして締めくくりはTillの弾くモーツァルトKV488。音楽と対峙する姿勢の真摯さ、まっすぐさ。そこからにじみ出るのであろう澄んだ音色。痛いくらい直接こころにグサってきて聴き終わって放心してしまう。オーケストラとのコンチェルトの場合は純度の高さが変わるので(!?)その「グサッ」度が和らぐけど。それでも言葉を失ってしまいます。どうその感動を言葉にしたらいいのかわからずいつも彼の前でしどろもどろ・・・。昨年健康上の理由でいくつかコンサートをキャンセルしていたので心配していたけど先日久しぶりに会ったときも元気そうにしていたしコンサートの予定も沢山入っているようなので安心!と~っても楽しみにしていたのでその期待もいつも通り裏切られることなく至福の時を過ごすことができました。あんまりにも特等席だったので舞台の出入りの時でさえ写真を撮るのは到底不可能でした・・・。
長い一日だったけど足を運べばさまざまな感動が待っているというのは素敵なこと。
「250歳のお誕生日」というのは既に亡くなっている人なんだから理論的には間違った言い方なのだと思うけど、モーツァルトは彼の残した音楽を通して間違いなくまだ生き続けているのだと改めて認識する一日になりました。
今から10ヶ月前(Linaちゃん生後2ヶ月)”もんちっち”みたいでしょぉっ?(#^.^#)
そのまた5ヶ月前(美和ちゃん妊娠8ヶ月)
生命を宿している誇りと喜びで魅力倍増の美和ちゃん。
by kyoyoshi215
| 2006-01-28 08:43
| 音楽