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ウィーン在住ピアニスト吉澤京子のらくがき帳
by kyoyoshi215
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ひとつの時代が終わるとき

ロストロポーヴィッチのドキュメンタリー映画が日本で公開されているそうです。

『ロストロポーヴィッチ 人生の祭典』

その中のウィーン楽友協会でのリハーサルシーンにどうやら私がちらっと映ってるらしい。コメントでichigoさんという方が教えてくれました。
早速、HPで予告編を見てみました。ウィーンフィル&小澤征爾とともにペンデレツキの初演作品とドヴォルザークのコンチェルトを演奏された時の様子が冒頭に流れ、私の記憶の中の風景と重なりました。そう、そのとき確かに私はそこに居ました。ブログにも書いています。→過去記事へ

ロストロポーヴィッチが亡くなったことを知ったのは入院中のことでした。術後すぐは全く身動きが出来ない状態で一日中携帯電話でラジオを聴いていたのだけど、そこで追悼番組を聴くはめになったわけで。亡くなったのは私が手術を受けた日でした。
命日忘れられなくなりました。

ウィーンにはロストロさんよくいらっしゃいました。舞台の上の演奏家と一人の聴衆としての邂逅はもちろんのこと、街中で見かける可能性もかなりありました。
初めて舞台以外で見かけたのは寿司バー付き焼き肉屋さんで。ひとりで寿司カウンターに座ってごきげんに次から次へとお料理を注文していました。後ろ姿しか拝めませんでしたけど、なんだか微笑ましかった覚えがあります。

その数年後、大学に公開レッスンに来たロストロさんにほっぺにぶちゅ、ぶちゅって挨拶されることに。。。ショスタコーヴィッチとブリテンのチェロソナタのレッスンを受けたのですが、両作品ともロストロさんのために書かれたうえに両作曲家と一緒に共演までしている曲。レッスンの大半は当時のエピソード語りでしたが、まさに生き証人ですからお話も生々しく興味深く貴重な時間でした。

80歳のお誕生日から丁度一ヶ月後、永眠されました。
また、大きな一時代が確実に終わりを告げたのですね。は〜寂しいです。

♪クリック♪
ひとつの時代が終わるとき_a0028065_19481258.gif





ブリテンのソナタの一曲目は「会話」というタイトル通り、チェロとピアノが冒頭から短い動機でかけあいをするのだけど、チェリストちゃんはついつい「美しくチェロを弾く」ことに一生懸命でピアノと会話することを忘れてしまったのね。そこで、ロストロさん、私の横にちょこんと座ってわたしにこそこそっと耳打ちしてきました。「僕がいいと言うまで弾かないで」と。ははぁ、これは何か企んでますね〜っとこちらまでちょっといたずら気分になって、ワクワク!「はい、もう一度最初から弾いて」とチェリストちゃんに一声。チェリストちゃん、真剣に一音目を弾きました。「・・・シ〜ン」えっあれって私の方を振り向いた彼女にロストロさん、「?どうかした?はい、もう一度」と。彼女、もう一度仕切り直して渾身の思いで一音目を弾く!「・・・・・」再び。えっどうしたの?と彼女が私に振り返った瞬間にロストロさん「いま!」と私に耳打ち。「♪♪」。。。そう、やっと彼女は自分の音に反応するピアノの音をちゃんと聴いたのです。ほ〜ら、わかった?と言わんばかりににこにこするロストロさん、なんともチャーミングでした。
by kyoyoshi215 | 2007-05-24 07:31 | 街・人・風景(ヨーロッパ)